特集 ピンクリボンin郡山

 2009年から毎年開催している乳がん啓発キャンペーン 乳がん検診受診率向上市民会議「ピンクリボンin郡山」。いよいよ今年の開催日が決まりました。
 6回目を迎える今回のイベントは、昨年に引き続きビッグパレットふくしまコンベンションホールで開催されます。(入場無料)
最新情報は、こちらからもチェックできます。 ピンクリボンin郡山実行委員会 Facebook


 

 昨年は、イベントがはじまって以来初めて「ビッグパレットふくしま」で開催されました。広い会場内にはメインステージとミニステージが設けられ、日本乳癌学会専門医や乳がん看護認定看護師による講演や特別講師にタレントの麻木久仁子さんを迎えての特別講演が行われました。今回のプログラムは、参加者の皆さんが全ての講演を聴けるように工夫されていたことから、何れの講演もほぼ満席となっていました。
 その他、ミニステージの近くには「おしゃべりカフェ」が設けられ、参加者の皆さんは気軽にカフェ・スイーツコーナーを利用しながら、和やかな雰囲気の中で乳がんへの理解を深めたり、各種質問や相談をしたり、貴重な時間を過ごしていたようです。
10:00~
10:10~11:45
11:45~12:15
12:15~12:45
12:45~13:15
13:15~13:45
13:45~14:45
14:45~15:15
15:15~15:45
15:45~16:15
16:15~17:00
開場
専門医による講演
~乳がんについて正しい知識を身につけよう~
検診について/二瓶光博先生(日本乳癌学会専門医)
診断について/松嵜正實先生(日本乳癌学会専門医)
治療について/片方直人先生(日本乳癌学会専門医)
アンジェリーナ・ジョリーと乳がんの遺伝の話
/野水整先生(日本乳癌学会専門医)
安積高校弦楽合奏部演奏会
乳がん検診自己触診指導
  /山田晴美氏(福島県保健衛生協会)
えみフラスクール フラダンスショー
乳がん看護認定看護師による講演
  /藤田由紀氏(乳がん看護認定看護師)
麻木久仁子氏特別講演
赤須太郎氏(余命1ヶ月の花嫁パートナー)ミニトークショー
乳がんと遺伝の話/野水整先生、赤須太郎氏
乳がんのリハビリテーション
  /橋本沙織氏(理学療法士)
乳がんなんでも質問コーナー(医師、看護師、その他)
○ピンクリボンおしゃべりカフェ
リンパ浮腫相談コーナー、コーヒー、紅茶、お菓子の販売
○ピンクリボンショッピング
  &体験ブース
会場/ビッグパレットふくしま駐車場
時間/10:00~16:00




アンジェリーナ・ジョリーと乳がんの遺伝の話
「ピンクリボンin郡山」実行委員会委員長
公益財団法人 星総合病院 乳腺外科 病院長代行 野水整 先生


 「乳がんが遺伝するのではないか?」
 私がそのように考えて研究をはじめたのは、今から30年以上も前のことです。しかし当時は、「がんが遺伝する」ということを言うと、「医者がそんな変な話をしては困る!」というふうなことをいわれる時代でしたので、苦労もありました。そうした中で、今日まで私は、‘乳がんの遺伝’に興味を持ち、たくさんの患者さんの家系をみながら勉強を重ねてきました。
 研究をはじめてから約10年後(今から約20年前)、乳がんの原因遺伝子(BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子)がみつかったのですが、それでも最近まで‘乳がんの遺伝’に関係するような演題で研究発表を行う人は少なく、学会の場でも私の他に2~1人ぐらいしかいませんでした。
 そうした中で、アンジェリーナ・ジョリーさんの話題が飛び込んできて、それ以降は、日本でも一気に‘乳がんの遺伝’に係る話題が中心的な存在になりました。そこで今回は、‘乳がんの遺伝’についてお話をしたいと思います。


アンジェリーナ・ジョリーさんについて

 アンジェリーナ・ジョリーさんは、遺伝性乳がん・卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer:HBOC)症候群という病気の家系に生まれた方で、私どもが色々な情報を集めながら家系図を考えていくと、家系内に乳がんや卵巣がんの方がたくさんいるということが分かりました。このような家系の場合、BRCAという遺伝子に変異があることが原因となって罹患者が増えます。今回のケースでは、アンジェリーナ・ジョリーさんご本人が乳がんや卵巣がんを発症しているわけではありませんでしたが、遺伝子検査の結果からBRCA1という遺伝子に変異があることが分かり、それにより将来の乳がん罹患率が高いことを知り、予防のために乳房切除手術を受けられたということになります。


「ほんとうに乳がんは遺伝するのだろうか?」

 近年、乳がんの罹患率は増加しています。このため血縁者に乳がんの患者さんがいることは決して珍しくはありませんし、その発生には環境要因が大きく関係していることから、遺伝でなくとも乳がんの家族歴を持つ方はたくさんいます。しかしその一方で、非常に濃厚な家族内集積を持つ、いわゆる乳がん多発家系があります。例えば、ご本人だけではなく親、姉妹、あるいは娘さんも乳がんに罹患するという場合には、遺伝性であることが疑われます。
 これまでの研究データ(福島県近県の乳がん検診データ)では、乳がん検診受診者のうち、母親あるいは姉妹に乳がんの人がいる家系の場合に、そうでない家系と比べて乳がん発見率が3倍ぐらいあるということが報告されています。また、海外の報告によると、母親あるいは姉妹に乳がんの人がいるとご本人も発症しやすいということがあり、そのリスクは凡そ2倍から高くて48倍ぐらいといわれています(確率は報告者によって異なります)。アンジェリーナ・ジョリーさんの場合は、乳がんの発症率が87%といわれたことも話題になりました。

日本では、年間約6万人が新規で乳がんに罹患している状況にあります。そのほとんどは、家族性あるいは遺伝性ではない乳がんであり、一部に家族性乳がんの方がいて、そのまた一部に遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の方がいます。


「家族性乳がんと遺伝性乳がんには少し違いがあります」

 家族性乳がんとは、遺伝的な要因の関与が強く疑われ、家系内に集積してみられる乳がんです。一方の遺伝性乳がんは、乳がんの発がんに遺伝要因の関与が大きいと考えられ、BRCAを代表とする遺伝子に変異が確認された乳がんのことです。このような遺伝子に変異を持つ人は、生涯のうちに乳がんを発症する可能性が高いといわれます。しかし、発症要因の1つには環境要因も必要で、環境と遺伝の両方の要因が合わさって発症すると考えられていますので、確率が高くても必ずしも乳がんになるというわけではありません。

「1991年に定められた家族性乳がんの定義」(野水整氏ら)
1. 
2. 
① 
② 
③ 
第一度近親者(親・子供・姉妹)に発端者を含め3人以上の乳がん患者がいる場合
第一近親者に発端者を含め2人以上の乳がん患者がおり、いずれかの乳がんが次のいずれかを満たす場合
40歳未満の比較的若い乳がん(若年者乳がん)
同時性あるいは異時性の両側乳がん
同時性あるいは異時性の多臓器重複がん






「星総合病院では、これまで数多くの原因遺伝子BRCAの検査を行ってまいりました」

 これまで、当院で手術を実施した患者さんの家系で調べさせていただくと(患者さんの許可を得て実施しております)、乳がんの家族歴を持つ人の中で約25%の家系の人に、BRCAに原因があることが分かってきました。それから、非常に濃厚な家族歴を持つ家系の人では約30%にBRCAの変異がみつかります。
 BRCAに関係のある乳がんの人には、若くして発症する・両側乳がんを発症する・片側の乳がんでも多発する、などの特徴があります。そして、生涯の乳がん発症率が非常に高く80%ぐらいといわれています。それから、乳がんだけではなく家系内に卵巣がんが発生する場合もあります。また、男性の場合には、乳がんや前立腺がん、そして膵がんなどもBRCAの関連がんといわれております。

 BRCA1の乳がんの場合は、トリプルネガティブという非常に悪性度が高い乳がんを発症する人が多いという特徴があります。この場合、予防的な処置として両側の乳房を切除して再建するという手術が行われています。また、そうした予防的切除術について言うと、卵巣がんについても行われています。卵巣がんは、発見された時には手遅れになることが多く、そうした意味では非常に危険ながんであることから、年齢等を考慮しながら実施されております。ただし、これらの予防的切除は世界的に実施されてきた例で、日本においては近年になってようやく倫理委員会が承認して可能になりました。


「遺伝子検査には難しい問題点もあります」

 遺伝子検査の一番の問題点は、健康保険の適応外で費用が高い(20~30万円程度)ということです。これまで、当院において私が行ってきた遺伝子検査は、そのほとんどを科学研究費で行っていたため無料でしたが、ここ3年間ぐらいはそれが叶わず自費診療で行っていただいています。

福島県においては、1991年から星総合病院、また2001年から福島県立医科大学で「がんの遺伝外来」を開設しています。このうち星総合病院では、主に遺伝性の乳がんや遺伝性の大腸がんを対象にしています。




「がんの遺伝外来」をcheck!

公益財団法人 星総合病院 がんの遺伝外来ページはこちらから

がんの遺伝外来では、実際にどのようなお仕事が行われているのでしょうか?
星総合病院の「がんの遺伝外来での仕事内容」をご紹介します。

こちらは、弊誌の頼れるふくしまの医療人 公益財団法人星総合病院 看護師 認定遺伝カウンセラーの赤間孝典さんのインタビュー記事からご紹介しております。
こちらもあわせてご覧ください http://www.iryojin.com/rensai_iryojin/131001iryojin.html




「医療人ネットワーク合同会社のブース」をcheck!



 当社では、「ピンクリボンin郡山」2013の企業ブースコーナーに出展し、3名のスタッフがお立ち寄りいただいた皆様に、オメオファルマのエッセンシャルオイルについてのアンケートをお願いしました。この度、弊社ブースにお立ち寄りいただき、アンケートにご協力くださいました皆様に御礼申し上げます。


<出展内容の紹介>
 女性を中心に幅広い世代の方々に支持されているエッセンシャルオイル。マダガスカルエッセンシャルオイルの火付け役になったオメオファルマのエッセンシャルオイルをご紹介。

HOMEOPHARMA(オメオファルマ)社とは、1992年に設立されたマダガスカル最大手アロマ関連製品の製造販売会社です。そのエッセンシャルオイルはアロマテラピー先進国であるフランスやベルギーにも輸出され、品質は高く評価されています。

弊誌連載記事「メディカル アロマ&ハーブ」では、アフリカにあるマダガスカル共和国から、現地の人々にインタビューして得たハーブ情報やアロマテラピー情報をご紹介しています。
こちらから http://www.iryojin.com/03_03.html



◆用語解説◆

※1 遺伝性乳がん・卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer:HBOC)症候群

BRCA(BRCA1遺伝子もしくはBRCA2遺伝子)の生殖細胞系列の変異が原因で、乳がんおよび卵巣がんなどのがんを発症する遺伝性腫瘍。