特集 ピンクリボンin郡山

2016.04.01

  昨年(2015年)で第7回目を迎えた、-乳がん啓発キャンペーン・乳がん検診率向上市民会議-「ピンクリボンin郡山2015」は、10月25日(日)にビッグパレットふくしまコンベンションホールにて開催されました。

 今回も、日本乳癌学会専門医をはじめとした各分野の専門家による乳がんの診療に関わる最新知識を学べる講演や、“笑いとキレイでHappyに”のテーマに合わせて快フィットネス研究所 所長の吉井雅彦先生をお迎えしての「笑いヨガ体験」、また、乳がんの早期発見のための自己検診方法を体操の中に取り入れた「ピンクリボン体操」など、幅広い世代の方が楽しみながら乳がんの知識を身につけ、様々な医療スタッフと交流のできる貴重な機会となりました。

  今回は、乳がんの治療をうける患者さんやそのご家族の気持ちに寄り添いながら、近い存在として支え続ける3名の認定看護師の皆さんにお話を伺いました。
認定看護師とはどのような資格なのでしょうか?
認定看護師とは、公益社団法人日本看護協会の認定資格で、同会において、「認定看護師とは、本会認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいいます」とされています。また、「認定看護分野とは、高度化及び専門分化する保健、医療及び福祉の現場において、熟練した看護技術及び知識を必要とする看護分野として制度委員会が認めたものをいいます」とされ、2016年1月現在の特定されている分野は21分野あります。
一般財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院
がん化学療法看護認定看護師
古川 美智子氏
がん化学療法看護認定看護師の資格を取得するきっかけとなったのはどのようなことでしょうか?
 私は、外科・泌尿器科混合病棟に勤務していた時の患者さんとの出会いがきっかけとなり、がん化学療法看護認定看護師を目指しました。その患者さんは、疾患が進行して治療が難しい状態にあったのですが、ご自身でも積極的に勉強しながら医師に治療の相談をするなど、疾患と一生懸命向き合われていました。そうした一生懸命がんと闘う患者さんの姿を見ていて、もっと私たちが力になれることがあるのではないかと思ったのです。今は、実際に資格を取得したことでエビデンスを持って行動ができるようになりましたし、患者さんが実際に必要としているものを迷いなく提供できるようになりました。そのことは資格を取得したことで得られた一番の宝だと思っています。
どのような時に認定看護師になって良かったと思われますか?
 がん化学療法看護認定看護師の仕事としては、治療に関して患者さんが理解できない部分や納得できない部分についての補足説明をすることで患者さんの意思決定を支援したり、化学療法による副作用に対するマネジメント、それから医療費や社会保障制度の提供なども行います。そうした中で、患者さんから「相談して良かった」という言葉をいただいたり、他の医療スタッフから「聞いて良かった」と言われたり、そう思ってもらえることが一番うれしいです。ただ、現状では認定看護師の仕事は院内外にまだまだ十分に浸透していないと感じますので、患者さんや同職にその知識を還元するには時間がかかると思います。ですから今後、各分野における認定看護師の資格取得者が増え、その役割が浸透し、看護現場の質の向上に貢献できるように努めたいと思っています。
  ”検診の恥ずかしさは一瞬、
がんになってしまったら一生です”
 乳がんは、他のがんに比べて若い女性の罹患率が高い疾患です。若い方の場合は、特に検診に対する恥ずかしさや不安も多く、なかなか検診へ行くことができない、ということもあると思います。でも、乳がんに罹患してしまった若い患者さんの話で、「早く検診を受けていればよかった」、「あれ?と思った時に早めに受診していればこんなに酷くならなかったのに…」ということを、私たちはよく耳にします。ですから私が皆さんに伝えたいことは、検診で恥ずかしさを感じるのは一瞬ですが、乳がんになってしまったら一生、ということです。その一瞬の恥ずかしさと一生の後悔のどちらを選択するのか、ぜひ考えていただき、早期発見のために検診を受けていただきたいと思っています。
乳がん看護認定看護師としての藤田さんの役割を教えてください
 患者さんが病院に入院している間は、主治医の先生をはじめ様々な職種のスタッフが治療や各種ケアに関わりますが、私は、入院中の術後の補助療法の説明やそれによる副作用についてフォローを行うほか、少しでも不安なく退院後の生活を送ってもらえるようにアドバイスや支援を行っています。例えば、仕事への復帰も含め日常生活に戻る中で最初は疲れが出やすいので、ご自身の身体と相談しながら少しずつ元の生活に戻していくためのアドバイスをしたり、皆さん最初は手術痕の扱いに戸惑われますので、生活の場面にあわせた創部のケア方法の注意点をお話したり、ボディイメージに対する補正下着の相談にも乗っています。私は、退院後でも困ったことがあればいつでも相談してほしいと思っていますので、入院中から気軽に声をかけていただけるような存在になれるように距離感を意識したり、私自身がそういうスタンスを持って患者さんと関わることを大事にしています。
やりがいを感じるのはどのような時でしょうか?
 患者さんが元気に退院されていく姿を見たり、ピンクリボンin郡山をはじめとしたイベントなどで声掛けいただいて「イベントに来ました!」とか、「あの時にお世話になってありがとうございました」と言ってもらえると、上手く患者さんのサポートをできたかな、と感じます。そして、何よりも患者さんたちの元気な姿を目にすることによろこびを感じます。
  ”毎月1回の自己検診+
定期的なマンモグラフィ検診を”
 乳がんを早期に発見するためには、定期的な検診と毎月の自己検診でご自身の身体をちゃんと知っておくことは大事なので、毎月1回の自己検診プラス2年に1回あるいは必要な方は1年に1回のマンモグラフィ検診を受けていただきたいと思っています。
緩和ケアについて、また緩和ケア認定看護師について教えてください
 私は、坪井病院のホスピス病棟に勤務している中で緩和ケアについて専門的に勉強したいと思い2005年に緩和ケア認定看護師の資格を取得しました。緩和ケアとは、2002年にWHO世界保健機構で、「緩和ケアとは生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して、きちんとした評価を行ない、それが障害とならないように予防したり、対処することで、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善するためのアプローチである」と定められています。緩和ケアは、診断された時から治療中、治療後、終末期とどの時期であっても受けることができます。
 私自身は実際にがんを体験したことはありませんが、今まで看護師として(24年間)務めてきた中で患者さんやそのご家族の話を身近に聞いてきたと思っています。私の考える緩和ケア認定看護師とは、緩和ケアの知識と技術を持って接することのできる「患者さんやご家族の応援団」です。今勤務しているホスピス病棟では、患者さんの病気の状態によっては病院で最期を迎えられる方もいますが、私は、そうした患者さんとご家族との貴重な時間を一緒に過ごさせていただいたり、そこで患者さんがその人らしく過ごせるように苦痛を緩和したり、希望を尊重し実現することができたとき、認定看護師の資格を取得して良かったと思いますし、やりがいを感じます。
実際に普段はどのような気持ちで患者さんやそのご家族に接しているのでしょうか?
 緩和ケアを行うにあたって、まずどのように人生を歩んできた方なのかを知るために患者さんやご家族から色々なお話を伺います。そして、それらを十分に理解した上で緩和ケアの最終目標である“その人らしく過ごせるように”支援しています。そうした場面ではコミュニケーション力が求められますので、私は常に細心の注意を払いながらも、できる限り患者さんやご家族の気持ちに寄り添えるように考えながらお話を伺うようにしています。
  ”乳がんは早期受診(検診)・早期発見に尽きます”
 今は、乳がん検診を定期的に受けられる環境も整っていますので、乳がんは早期受診、早期発見に尽きると思います。また、万が一病気になったとしても、ピンクリボンin郡山で毎年講演してくださる乳癌学会専門医の先生方をはじめ各医療分野のスペシャリストがたくさんいます。地域にはそうした心強い味方がいて、皆さんがその人らしく過ごせるようにお手伝いしてくれる、ということを覚えておいていただければと思います。
※2015年9月からリンパ浮腫外来開設

 近年は、日本人女性のおおよそ12人に1人が一生のうちに乳がんに罹患するといわれています。罹患年齢は、40代から60代までがピークといわれていますが、近年は20代から30代の若い女性の罹患数が増加しているそうです。一方で、乳がんは早期発見できれば、非常に生存率の高い疾患といわれています。 
 毎年開催されているピンクリボンin郡山は、そうした乳がんについての正しい知識や最新の治療を知ることができ、様々な医療者と直接交流ができる頼れるイベントです。2016年も10月に開催される予定ですので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。


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