情報誌「医療人」®

医学関連学会記事


 日本家族性腫瘍学会は、1995年に福島県郡山市で開催された第1回学術集会にはじまり、今回で第20回目の開催となった。
 当県において3度目の開催となる第20回日本家族性腫瘍学会学術集会は、2014.6.13(FRI)、14(SAT)の2日間を会期とし、公立大学法人福島県立医科大学 甲状腺内分泌学講座 主任教授の鈴木眞一氏が会長を務めた。

 鈴木眞一会長は開会の挨拶で、今回の記念すべき第20回目までの間に、第1回目と第11回目を同門の先輩医師や自身と同講座(元)の医師のもと福島県で開催されてきたことに触れ、そうした意味から今回「次世代への継承」をテーマに掲げたことを説明した。
 また、「我々の中では、家族性腫瘍という学問・診療をずっと継承しております。今後も我々の事務局スタッフが是非この学術集会を本県で開催できるように、今回もそういうアクティビティを持ってできればというバトンタッチの意味も持っております」と話し、さらに「この家族性腫瘍自体が世代を扱うもので‘世代を継承する’‘データを伝える’‘症例を伝える’‘世代間のいろんな情報を伝える’ということでも、次世代への継承というのは非常に重要な事だと思う」と話した。そして、多数の応募演題が集まったことに感謝を述べ、2日間の熱い討論を促した。

福島県で開催された歴代学術集会
 第20回 2014年6月13~14日  (福島)
鈴木眞一氏
公立大学法人福島県立医科大学 甲状腺内分泌学講座 主任教授
 第11回 2005年6月24~25日  (福島)
竹之下誠一氏
石岡千加史氏
公立大学法人福島県立医科大学 器官制御外科学講座 主任教授
東北大学加齢医学研究所 臨床腫瘍学分野 教授
 第 1 回 1995年          (郡山)
野水整氏
土屋敦雄氏
公益財団法人 星総合病院 病院長 外科・がんの遺伝外来
社会医療法人 福島厚生会 福島第一病院 副院長 外科
家族性腫瘍Vol.14 No.2
日本家族性腫瘍学会 歴代学術集会会期・会長・開催地一覧より抜粋
職名は現職で記載

注目のプログラム
福島県の医療人をピックアップ
会場:コラッセふくしま
■一般演題1
[ 家族性大腸腫瘍 ]
01-3 家族性大腸癌タイプXを疑わせる1症例
菅家康之氏 
公益財団法人星総合病院 外科
■ランチョンセミナー1
外科医が行った遺伝子診断およびカウンセリング400例
東北家族性腫瘍研究会の軌跡
野水整氏
公益財団法人星総合病院 外科・がんの遺伝外来
■会長講演
鈴木眞一氏 
福島県立医科大学 甲状腺内分泌学講座
■シンポジウム3
[遺伝性乳がん・卵巣がん]
赤間孝典氏
公益財団法人星総合病院 看護部
■市民公開講座
[ 遺伝性腫瘍の拾い上げと治療の現状 ]
3 家族性大腸癌のスクリーニングと治療
隈元謙介氏 
福島県立医科大学 器官制御外科学講座
■遺伝子診療を考える会(FCC生涯研修セミナー)
野水整氏 
公益財団法人星総合病院 外科・がんの遺伝外来
赤間孝典氏 
公益財団法人星総合病院 看護部

優秀演題賞の表彰式

 家族性腫瘍学会では、昨年度から学術集会の発表演題を対象とした優秀演題賞を授与することになっており、今回は一般演題を対象とした中で2題の優秀演題賞が選ばれた。
 今回、第20回日本家族性腫瘍学会学術集会の発表において、家族性腫瘍医療、学術の発展・向上への寄与が期待される優れた演題を発表したとして表彰された優秀演題賞は次の2名。

[ 家族性大腸腫瘍 ]
家族性大腸腺腫症の大腸外合併疾患に対するサーベイランスの検討
 松村雄輔氏 (がん研有明病院 消化器内科)

[ 遺伝性腫瘍 ]
MUTYH関連ポリポーシス(MAP)を考慮した多発性大腸腺腫症を有する妊婦の遺伝カウンセリング
 松山裕美氏 (近畿大学大学院 総合理工研究科 理学専攻)

 表彰式では、鈴木眞一会長が「できる限り、医師系と非医師系ということで選ばせていただきました」と述べ、受賞した松山裕美氏は、「昨年大学に入学したばかりで、ほんとうに一から始めてのことなので、ちょっとびっくりしていました。ありがとうございます。このような賞をいただきましたので、以前にも増してもっと皆さまのお役に立てるように頑張りたいと思います」と感想を話し会場からの大きな拍手に包まれた。



― 2日間の日程を終えた鈴木眞一会長の閉会の挨拶から ―
 「この2日間、ビジネスミーティングを入れると3日間、皆様にはほんとうに長い間お世話になりました。ありがとうございます。皆様のご協力のおかげで盛会な会になったのではないかと思います。我々は、当初は出席者が200人ぐらい来れば御の字と思っていましたが、実際には300人に近い人数になりました。また、今回は家族性腫瘍学会へ当日入会された方も多かったと聞き、この会に携わってくださる皆様が増えつつあるということは非常に望ましいことです。これからも多くの皆様に参加していただき、そこで色んな話を持ち寄りながら、この家族性腫瘍というものを広く伝えていただきたいと思います」
 「今回の会を設けることができたことに、ほんとうに感謝申し上げます。また今回で福島の雰囲気を味わっていただけたと思いますが、風評被害等と闘いながら地元のものを宣伝して頑張っている人たちもいます。どうか帰り際、福島の食べ物を食べたり、観光したりしていただければと思います。どうもありがとうございました」



日本家族性腫瘍学会HP: http://jsft.umin.jp/
福島県立医科大学 医学部 甲状腺内分泌学講座HP:http://www.fmu.ac.jp/cms/dte/index.html/