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   日本臨床外科学会は1937年に発足し、今回で第76回目の総会を迎え、福島県立医科大学器官制御外科学講座 主任教授 竹之下誠一氏が会長を務めた。晩秋の心地よい福島の空のもと、2014年11月20日から22日の3日間にわたり開催された。会場は郡山市の市民文化センター、ビッグパレットふくしま、ホテルハマツ、郡山ビューホテルアネックスの4会場にまたがるが、スマートフォンで主要会場の講演を聴講できるシステムが導入され、参加者の利便も図られていた。
 今回の総会メインテーマは「外科の美学」。この「美学」とは、個人の感性により問題の新たな相貌を明らかにし周囲とのかかわりの中で価値を持たせることを意味し、ポスターには会津武士の美学になぞらえ会津鶴ヶ城を用い、竹之下誠一会長は本総会への熱い想いを表現した。
 プロジェクションマッピングで盛大に開幕した本総会。竹之下会長は開会の挨拶で、開催にあたっての多大な支援に感謝しつつ、「明日の若手外科医を牽引し、外科医の 『技術』 と 『心』 を継承することにフォーカスし、さらに研鑽してほしい」と話し、活発な議論に期待した。

注目のプログラム
会場:郡山市民文化センター、ビッグパレットふくしま、ホテルハマツ、郡山ビューホテルアネックス
1日目 2014.11.20(木)
■特別講演
菊地 眞氏
ふくしま医療機器産業推進機構/医療機器センター
■総会特別企画02
[若手外科医が海外留学から学んだもの(UJA共催企画)]
岡山 洋和氏
福島県立医科大学 器官制御外科学講座
2日目 2014.11.21(金)
■総会会長講演
竹之下 誠一氏
福島県立医科大学 器官制御外科学講座
■要望演題(口演)
[BMIの高い症例での手術の工夫]
藁谷 暢氏
総合南東北病院 外科
■一般口演
[小腸:良性 5]
武藤 亮氏
福島労災病院 外科
3日目 2014.11.22(土)
■特別演題 シンポジウム08
[家族性腫瘍診療における外科治療の役割]
鈴木 眞一氏
福島県立医科大学 甲状腺内分泌学講座
野水 整氏
星総合病院 外科・がんの遺伝外来
■主題関連演題
[進行下部直腸癌の治療戦略]
遠藤 俊吾氏
福島県立医科大学会津医療センター 小腸・大腸・肛門科学講座
■要望演題口演
[下肢静脈瘤に対するレーザー治療は標準治療となるのか?]
石田 圭一氏
福島県立医科大学 心臓血管外科
■一般口演
[高齢者に対する消化器手術]
小山 善久氏
大原綜合病院 外科

特別展示




~メディカルイラストレーション~
医学や医療のコミュニケーションスタイルを大きく変えようとしているメディカルイラストレーション。会場には色彩豊かな人体解剖図や医学上の説明図、高度な3D映像などが展示されていた。川崎医療福祉大学のレオン佐久間氏は「医学医療での情報の可視化は重要かつ必要な分野であることは、医療の歴史が証明しています。メディカルイラストレーションが、医学医療の発展にとって欠く事のできない柱の1つとなることを確信しております。」と特別展示の開催にあたってコメントを寄せていた。
出典:有賀 大河氏
(ARIGA-OKAWA KaNa)
~特別ポスター展示
  「手術記事 私たちのこだわり」~
メインテーマとして「外科の美学」を掲げた本総会では、外科医の手術記事も外科医の思想や美学が現れるものとして、実際の手術記事や伝統的な指導法など一枚のポスターにまとめたものが展示されていた。先人らの手掛けた貴重な手術記事なども展示され、若手外科医へも大きな刺激を与えていた。
出典:八島 玲氏、小船戸 康英氏、
    志村 龍男氏、竹之下 誠一氏
    福島県立医科大学 器官制御外科学講座



 総参加者数5788名を記録し、大規模な総会が大盛況のうちに幕を閉じた。竹之下会長は、閉会の挨拶で「総会のテーマは私が考えたが、その他のすべては若い教室員達のアイデアをもとに企画したものであった。皆様からは素晴らしいモデルの総会であったとお褒めの言葉を頂戴することができ、大変ありがたい。この総会によって次世代の若手をいかに育成するか方向付けられたのではないだろうか。この総会がひとつの礎となり歴史的にも評価いただければ、福島県の外科医やご支援いただいた福島県の皆様の心の支えにもなると思う。」と、無事に総会を終えた感謝を込めて力強く語った。




日本臨床外科学会HP: http://www2.convention.co.jp/76jsa/
福島県立医科大学 医学部 器官制御外科学講座HP: http://www.fmu.ac.jp/cms/surgery2/index.html