医療人材育成支援

医師たちの必須アイテム

病院では「診療科」という専門ごとに役割を分担した医療が提供されています。 そして各診療科によって、必須となる医療機器などのアイテムは異なります。
手術用テンプレート 整形外科は機能回復を担う科なので、手術の成否で患者さんの機能予後が変わってきます。手術の方法は多岐にわたるため、適切な手術をするためには適切な準備が必要になります。その手術の準備をするために必要なアイテムが手術用テンプレートです。各患者さんの骨にどのような器械(インプラント)が合うかをあらかじめ予測するためにレントゲンの上からテンプレートをあててみたり、必要に応じてトレースシートに骨とインプラントを両方書き写したりして使用します。良い術前計画が出来れば手術の成功率もあがるので、手術をする上ではとても貴重なアイテムになります。
消化器内視鏡 消化器内視鏡には、大きく分けると2種類あります。上部内視鏡という、食道・胃・十二指腸を観察する内視鏡と、下部内視鏡という、大腸を観察する内視鏡です。消化器内科ではそれらを使って、早期の胃がんや食道がん、ポリー
プ(粘膜にできるイボ状に盛り上がったもの)、潰瘍(粘膜などの表面が欠損している状態)などを発見します。さらに、発見するだけでなく、可能なものはその内視鏡を使って病変を切除したり、出血している部位をいろいろな方法で止血したりします。このように、内視鏡の良いところは、早期の病気を発見できることと、お腹を切らずに治療ができることです。 
 キーワード「チーム医療と連携」 リハビリテーションは、単なる関節の訓練やマッサージとは違い、医師が処方する薬や注射、点滴と同様に扱われます。医師をはじめ看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴党士、ソーシャルワーカーなどの多くの職種が関わり合い、治療を進めていくため「チームワーク」が大切です。また私たちの診療科は、急性期治療を終えた患者さん方を受け入れ、病態の安定と体力の回復、そして自宅復帰や職場復帰へと導きます。ですから、急性期病院と外来診療や介護施設などの橋渡しの役割も務めるため、「連携」も大切です。 そしてそれらを大切にしながら、患者さんの抱える不安や希望、想いを受け止め、趣味や生きがいを援助できればいいなと思っています。
 術中モニタリング 全身麻酔の手術では、患者さんは深い眠りに入り、メスで身体を切られても痛みを感じず、手足も動かしません。脳の手術でも麻酔は必要ですが、危険な面もあります。手術中に脳に傷がついても、それに医師が気づかない危険です。麻酔から覚めたら手足が動かない!そんなことがあったら大変です。今は、脳に微弱な電流を流して手足を動かしながら手術をします。手術中に手足が動かなくなれば直ぐに異常と気づき修正できます。この方法により、手術で手足が麻痺する危険性が1/10に低下しました。この方法を開発したのは福島県立医科大学です。現在の医療で救えない患者さんを救いたい・・そんな思いを持って医師を目指してください。
タブレット 病院で受ける検査には超音波やレントゲン、CTなど様々なものがあります。それらは、大人にとってはなんともありませんが、検査の意味や目的がわからない小さな子どもにとっては、恐怖の対象となります。それを怖くない、痛くないということを理解させることが小児科では重要で、看護師さんたちが子どもたちにそのための説明をします(これをプレパレーションといいます)。だけど、やっぱり言葉だけでは上手く理解できないところがあるので、こういうタブレットで超音波検査の説明のアニメーションを見せたり、キャラクターの映像を見せながら検査を受けてもらったりして、出来るだけ小さな子どもたちに安心して受診してもらえるようにしています。
超音波検査機 超音波検査機は、人間に聞こえない音を機械から出して、体の中で跳ね返ってくるその音を受信し、コンピュータで処理して、目に見える形(画像)にして体の中を見る機械です。体の中を見る機械というのはCTやMRIなど大きな装置がたくさんありますが、超音波検査は、人体に害がなく、しかも繰り返し行うことができる検査です。また超音波検査は、動いているものの「動き」を見るのが得意です。例えば生まれたての赤ちゃんは脈拍数が大人の3倍もありますが、その早い動きも超音波では害を与えずに見ることができます。さらに医師だけでなく、検査技師や看護師も行うことができるので、循環器内科では必須だと考えています。