情報誌「医療人」®

今月の医療人紹介

(2013年3月1日掲載)

福島県立医科大学会津医療センター(小腸・大腸・肛門科)教授 冨樫 一智 氏

福島県立医科大学会津医療センター
 (小腸・大腸・肛門科)教授 冨樫 一智 氏


多数の臨床経験や最新の知見に基づいて、
最新機器を駆使した上質の医療を目指していきたい

 現在、日本の大腸がん診断・治療技術は世界でも高度なレベルにあり、検診のシステムも普及していることから症状の出ない段階でがんを発見することが可能である。そしてそのような早期がんであればほぼ完治することができる。
 しかし、厚生労働省の人口動態統計数によると、日本人の大腸がん罹患率・死亡率の年次推移は年々上昇の一途をたどり、検診受診率も30%弱にとどまっている。
 今回は、小腸・大腸・肛門疾患を専門とし、福島県の地域医療を支える超専門医(※1)である福島県立医科大学会津医療センター準備室教授の冨樫一智先生にお話を伺った。先生は、特に大腸ポリープの内視鏡的診断・治療を得意とし、これまで観察することすら難しいといわれてきた小腸領域の診療・治療の進歩にも大きく注目している。


地域医療のために
先生は喜多方市ご出身ですが、地域への想いはずっとお持ちだったのでしょうか

 医師を目指すことを決めて大学進学する頃から、地域の中で一生懸命働きたいという気持ちがありました。そして、そのような想いから地域医療を担う医師の養育を目的とした自治医科大学を選びました。卒業後は、県立宮下病院でトータル7年間、会津の地域医療に従事し、その後、会津の地を離れて自治医科大学光学医療センターで研鑽を積んできました。そのような中で、再び福島県の地域医療に貢献したいという強い想いがあったので、この会津地域に戻ってきました。実際に地域で働いていく中では、一般医だけでは解決できない問題がたくさん出てきます。ですから地域の中にも専門医が必要だと考えています。

なぜ大腸領域を専門とされたのでしょうか

 この領域を専門とした理由には2つあります。1つは、自治医科大学の後期研修の時に大腸を専門にしている素晴らしいMentor(恩師)と出会ったことです。それからもう1つは、県立宮下病院で勤務をしている時の話になります。当時でも大腸がんの患者さんはたくさんいたのですが、大腸内視鏡検査がうまくいかないことが頻繁にありました。その時は、患者さんを別の病院にお願いしたのですが、そこでもやっぱりうまくいかなかったのです。そうした大腸内視鏡検査の難しさを経験したため、このような状況を解決したいと考えるようになりました。
 こうしたことから、自治医科大学で外科医として働きながら、外科の中で大腸に特化した医師を目指すようになったのです。私は、もともと勉強をすることが好きでしたので、大学を卒業してからも、好きな領域に特化した勉強を続けました。その結果、現在までに2万件以上の大腸内視鏡検査の経験を積み、こうした経験に基づいたレベルでの診療ができるようになりました。私のモットーは「好きこそ物の上手なれ」です。知識、技術、経験など、何事も好きで専門化している人にはかないません。私にとってドクターになった事は大正解で、今では天職だと思って日々の診療を行っています。

診療科名について、小腸・大腸・肛門科という名前は全国的に珍しいそうですが

 大腸・肛門科という名前はよくありますが、小腸も診療科名に含めたというのは全国的に初めてだろうと思います。私どもが、小腸も診療科名に加えたことには理由があります。小腸は、十二指腸と大腸の間にある臓器で、長さが6m以上もあることから今までの内視鏡では内腔を観察することができず、暗黒大陸といわれてきました。しかしそれがカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡(※2)が出てきたことにより、診断・治療が可能になったのです。そうした意味で、小腸は非常に魅力のある分野です。さらに、そのダブルバルーン内視鏡(※2)を開発したのは、自治医科大学で一緒にやってきた山本博徳先生で、私自身も開発時の手伝いをさせていただくなど、当時からダイレクトにそれを使った小腸内視鏡検査を行ってきた経験があります。こうしたことから、今後は当院でも力を入れて小腸領域の診療を行っていきたいと思っています。

(小腸・大腸・肛門科)小腸について
小腸内視鏡検査が可能になり、どのような病気がわかるようになったのでしょうか

 小腸疾患の頻度的に一番高いものから言いますと、1番目は血管腫(※3)になります。例えば、高齢の方で原因不明の消化管出血や貧血が続いているような場合には、小腸に血管性の病変があり、そこから出血していることがあります。そのような出血を内視鏡で止めることで貧血自体が治る方もいます。
 そして2番目は、悪性腫瘍です。小腸のがんは頻度的に低いように思われていますが、大腸がんの100分の1程度は考えなくてはいけません。それから3番目は、消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor :GIST)(※4)という胃・小腸・食道・腸間膜・大腸に発生する消化管粘膜下腫瘍で、私が着任してからの2年間に何例かみつかっています。その他には、小腸原発悪性リンパ腫という全消化管悪性腫瘍のうちでも比較的まれな疾患も1人みつかっています。これらの小腸疾患は、内視鏡がない時代にはおそらく見落とされていて、例えば腸閉塞になったことから外科手術をして初めて分かることもあったのでしょうね。

小腸疾患の早期発見は可能となったのでしょうか

 現状では、早期発見の段階まではいっていません。小腸疾患がようやく診断・治療できるようになったということは飛躍的な進歩でありますが、そこから早期発見に結びつけるにはまだ難しい問題があります。
 カプセル内視鏡検査というのは、要件を満たす方であれば口から飲み込むだけで検査ができますので簡単に思われるかもしれませんが、医療費が高額であることや大きな病変でないと発見できないということがあります。それから、ダブルバルーン内視鏡(※2)は侵襲的な検査になりますので、所要時間が長く1〜2時間かかります。これは、長く伸び縮みする小腸全域を、たぐり寄せるように折りたたんで短縮しながら観察しますので、セデーション(鎮静剤)が必要となり、患者さんにとっては苦痛が強いということもあります。また、この検査や治療は、経口的アプローチか経肛門的アプローチを行います。そこは、病変の位置までの長さが短いほうが侵襲性は低いのですが、経口的に行うと膵炎を起こすことがありますので、距離が同じぐらいであれば経肛門的に行うのが一般的です。このように、どちらの方法にも一長一短がありますので、そこは双方のバランスをとりながら診療していくこというのが今の日本の現状、そして世界の現状であります。

(小腸・大腸・肛門科)大腸について
大腸がんは早期に発見されれば生存率が高く、スクリーニング検査も普及していますが、それでも罹患率・死亡率ともに増加傾向にあるのはどうしてでしょうか

 これはとても大事な問題です。日本の大腸がん訂正死亡率(※5)は、アメリカやイギリスよりも高くなっているというショッキングな事実があります。
 現在の日本の医療制度では、国民皆保険で国民全員が公的医療保険で補償されていますので、必ず保険に入れます。そして40歳以上の人は年に一度の大腸がん検診が推奨されています。しかし、2010年に実施された「国民生活基礎調査」などによると、受診率は男女共に20〜30%弱ぐらいです。
 一方アメリカでは、誰もが保険に加入できるわけではなく、加入するためには審査が必要になります。その審査項目として大腸の検査として大腸内視鏡などを受けることになりますので受診率が80%を超えています。また、イギリスではかかりつけ医制度のもとで医師が検診受診を積極的に勧めており、そうした米英と日本間の制度の違いが受診率の差を引き起こしているのです。このように日本人の大腸検診受診率の低さが、罹患率や死亡率を増加させていると言え、これはとても由々しき問題であると思います。

大腸がんの早期発見のためには、一般に便潜血検査が推奨されていますが、先生はどのようにお考えでしょうか

 便潜血検査についても、強調してお話したいことがあります。それは、便潜血検査の結果は、進行がんの10%は陰性になり、早期がんの50%しか陽性にならないということです。この現状から言えることは、この検査方法はあくまで集団検診のためであり、個人を対象とした検査としては基本的には成り立たないということです。したがって、大腸内視鏡検査を行わなければ、早期がんが発見できない可能性が高いということです。
 大腸がんは、早期での自覚症状がなく60代から70代ぐらいの男性に多い病気ですが、死亡率でみると女性の方が高くなっています。実際に患者さんを診ていると、検査を受けない方に限って進行がんでみつかったり、遠隔転移が起きてからみつかったりすることが多くあります。私のところでは、無症状のうちに発見され、治療ができる大腸がんであれば、ほとんどの場合は救命することができます。ですからそれらを考慮し、40歳を過ぎたら年に一度の大腸検査を受けることが自分の身を守る一番の良作であると言えます。そしてそのための検査方法として、現状では大腸内視鏡検査がゴールドスタンダードであると思います。
 また、大腸がんの中には遺伝するものがあります。未確定ではありますが、大腸がんの中で遺伝性と考えられるがんが5〜10%あり、これは若年発症するといわれています。そのため第一度近親者の中に大腸がんの方がいる場合は、40歳よりも少し早い段階での検診をおすすめいたします。

近年、大腸内視鏡技術の向上や機能性の充実によって詳細な診断が可能になり、患者さんの苦痛が軽減されてきたそうですが

 現在の大腸内視鏡は、10年前と比べてすごく進歩しています。特に、患者さんへの負担を減少させるために内視鏡の外径が細くなり、現代、日本の高い技術力によりハイビジョン化が実現しました。それにより肉眼視に近い画像で診断が可能になっています。それに加えて、高画素内視鏡(※6)画像強調内視鏡(※7)などを使用することで、適切な画像を得ることができるようになりました。そのことで、治療が必要な腫瘍なのか、それとも必要のない非腫瘍なのかという鑑別(質的診断)が、検査中にできるようになりました。また、色素内視鏡検査法(※8)というものでさらにそれを詳しく診ることができます。これは多少簡便性に欠けるという点はありますが、現状での質的診断や病変の発見、拾い上げ診断には非常に有用であることは事実だと思います。
 患者さんの苦痛を軽減させることに関しては、国際的にはまだ評価されていないことですが、内視鏡の尖端にフードを付けることによって患者さんの苦痛を少なくできることが分かってきました。また、内視鏡の挿入時には空気を送気して腸管を膨らますのですが、そのときに空気の代わりにCO2(二酸化炭素)を使用すると、空気に比べてCO2は腸管からの吸収が150倍も早いため、患者さんの満腹感や腹痛を軽減できることが分かってきています。
 機器以外の面では、以前は内視鏡の挿入方法について、医師によって技術が千差万別で、どれが良い方法なのかわからない状況がありました。それが現在では全国的に均一化されてきました。この結果として、若い先生は内視鏡が早く上達するような印象があります。
 しかし、このように機器が進歩し技術が向上していても、患者さんによっては大腸鏡検査を苦しいという理由から嫌う方もいます。そこで、そのような方には大腸3D-CT検査(CT colonography)というものがあります。これは、内視鏡を挿入せずにCO2を肛門から注入してマルチスライスCTで撮影することで検査をします。これは、実際に私たちのところでも力を入れている検査方法で、おおよそ10分程度で終わるため、大腸内視鏡検査を嫌う患者さんへの対応としては十分成り立つのではないかと考えています。

先生は、特に大腸内視鏡の診断・治療を得意とされているそうですが、どのような診療を行っているのでしょうか

 私が、今まで主にやってきた仕事として、ライフワークの1つとも言えるのが質的診断です。診断をする中で、腫瘍か非腫瘍かの鑑別をするということはすごく大事です。その腫瘍にも悪性と良性がありますが、良性の腫瘍は腺腫と呼ばれる基本的には前がん病変であり、遺伝子異常が確実に起きている状態です。腺腫はいつがん化するか分かりません。例えば、それが50年後かもしれませんし、10年後または2〜3年後かもしれません。
 それに対して、非腫瘍はその代表が過形成性ポリープ(※9)で、がん化するリスクが全くないわけではありませんが、頻度的には非常に低いと言えます。具体的な数字にすると、腺腫は100個に1個ぐらいがん化するものがありますが、非腫瘍の場合では1000個に1個もがん化するものはありません。そのようなことから、そこを鑑別する意味というのは大いにあるだろうと考えています。
 それから、がんは全て外科手術が必要と思われる方が多いかもしれませんが、早期の大腸がんのであればそのほとんどは内視鏡治療で完治します。

 がんは、その深達度によって区分されていて、大腸がんでは粘膜下層までのがんを早期がん、固有筋層まで浸潤しているがんを進行がんとしています。その中で、早期の大腸がんであっても、粘膜下層に深く浸潤している場合はリンパ節転移のリスクが出てきますので、外科手術を受けなければなりません。
 このような治療は、患者さんの立場になればできる限り一度で済ませたいと思いますので、私たちのところではオールインワンの治療を目指しています。さらにそのような中で、極細径内視鏡(ultra-Fine scope)を使用した臨床研究も行っています。それは現在、福島県立医科大学の倫理委員会の認承を得ています。この研究により、対象例を高齢の女性に限ると、極細径内視鏡とCO2を組み合わせて使用することで患者さんの痛みがとても少ないということが分かってきています。

先生は、海外ライブデモンストレーションを多数経験されておりますが、いつもどのような気持ちで挑まれているのでしょうか

 ライブデモの経験は、国内で1回と、海外では留学経験のあるオーストラリアで3回、また、ニュージーランドで5回あります。デモでは、実際の大腸内視鏡検査や診断・治療について実技指導します。例えば、自分自身がもっとも得意としているところでは、さまざまな診断装置をどのように使い、診断に役立てるのかということをします。
 ライブデモで一番大事なことは、国内でも海外でも一緒ですが、いつもと違う事をやってはいけないんですよね。いつもと違う自分を見せようとすることや、自分はうまいとかっこつけてやるとうまくいきません。ですからいつもやっている事と同じ事をやれればたいていうまくいきます。それが一番のポイントかなと思います。

世界的にも大腸がんの患者さんは多いのですが、治療法などに違いはあるのでしょうか

 大腸がんの標準的な治療はグローバル化していて、進行がんの手術適応に関しての細かい部分での違いは多少ありますが基本的には一緒です。ただ、早期がんの治療に関しては日本と欧米での違いがあります。
 日本の場合は、リンパ節転移のリスクを考えて治療方法を決めています。それは、例えば腫瘍の大きさが5㎝であってもリンパ節転移のリスクがないと診断すれば、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endscopic Submucosal Dissection:ESD)(※10)で切除することが一般的です。しかし、欧米では腫瘍の大きさで治療法を決めているのが現状で、腹腔鏡手術が非常に発展していますので、だいたい腫瘍が2㎝を超えてくると腹腔鏡手術で切除する方法が一般化しています。そのようなことは医療システムの違いであると思います。日本では、詳しい検査により正確な進行度(ステージ)を診断し、それに応じた治療法が行われていますので、より患者さん主体での診療が行われているということなのです。

会津医療センターとしてスタートいたしますが、今後の展望などをお聞かせいただけますか
 私たちのところでは、外科も内科もなくトータルで小腸・大腸・肛門疾患を診ていこうということが一番の特徴です。診断をして内視鏡治療が必要な場合は内視鏡治療を行い、外科治療が必要な場合は外科治療を行います。私たちのグループは、それを行う超専門医(※1)の集まりです。そのメンバーの中には、内視鏡手術の第一人者である工藤進英先生の元で修行していた遠藤俊吾先生もいます。
 また、普段からさまざまな研究会や学会等で新しい技術知識などを勉強する機会にも恵まれ、常に最新の医療に目を向けています。そのような中で、今後はますます多くの患者さんの治療をしていくことで、グループの充実を図っていきたいと考えています。
 近年は、さまざまな医療機器が出ていますが、私たち医師が患者さんの病歴をきちんと聴取して一般的な診察をする段階で診断がつくことはとても多くあります。学生時代に教わった有名教授は、病歴聴取と診察により9割は診断がつくとおっしゃられました。その話は正にその通りで、その診断をさらに確かめるためにあるのがさまざまな医療機器だと思います。ですから、多数の臨床経験や最新の知見に基づいて、最新機器だけに傾倒することがない医療を目指していきたいと思います。
 さらに教育の面では、現在も研究のマインドを持った若い医師の育成に出来る限り協力をしています。しかし、まだ若い医師が少ないという状況がありますので、今後、学生教育も含めた中で、養成にも力を入れていきたいと思っています。

※連載・医療人では、語り手の人柄を感じてもらうために、話し言葉を使った談話体にしております。


プロフィール
冨樫 一智 氏  (とがし かずとも)

役  職 (2013年3月1日現在)
 福島県立医科大学会津医療センター
 (小腸・大腸・肛門科)教授

出  身
 福島県喜多方市

卒業大学
 自治医科大学医学部 卒業

専門分野
 小腸・大腸・肛門科

資格:所属学会等
 医学博士
 日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医、評議員)
 日本大腸肛門病学会(専門医、指導医、評議員)
 日本消化器病学会(専門医、指導医、評議員)
 日本外科学会(認定医、指導医)

治療実績2012.9.12現在(合計):
・内視鏡件数:2万1000件程度
・ポリペク件数:数としては2万個以上、患者述べ数としては1万人以上
・早期がんの切除数:10%として2千病変以上
・ライブデモンストレーション件数:オーストラリア3回、ニュージーランド5回、日本1回

公立大学法人福島県立医科大学 会津医療センター
 〒969-3492
 福島県会津若松市河東町谷沢字
 前田21番地2
 TEL:0242-75-2100
 FAX:0242-75-2150
 URL:公立大学法人福島県立医科大学 会津医療センターホームページ




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◆用語解説◆

※1超専門医

 学会が認定する専門医を超えた医師。ここでは、各専門部門に精通した医師を指す。

※2 ダブルバルーン内視鏡

 先端にバルーンがついている内視鏡を、同様にバルーンのついた外筒の中に入れて、それぞれのバルーンを交互に膨らませながら内視鏡と外筒を交互に挿入することで小腸を観察する。

※3 血管腫

 全身のあらゆる部位に発症する血管のできもののようなもの。はっきりとした原因が不明のものが多く、病態はさまざまで治療方法も多岐にわたる。

※4 消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor :GIST)

 消化管の壁にできる転移、再発を起こす悪性腫瘍の一種で、粘膜の下に腫瘤状の病変を形成する粘膜下腫瘍。自覚症状が少ないが、腹痛や腫瘍からの出血による下血や貧血などがおこる場合もある。

※5 訂正死亡率(調整死亡率)

 都道府県別に、死亡数を人口で除した通常の死亡率(以下「粗死亡率」という。)を比較すると、各都道府県の年齢構成に差があるため、高齢者の多い都道府県では高くなり、若年者の多い都道府県では低くなる傾向がある。このような年齢構成の異なる地域間で死亡状況の比較ができるように年齢構成を調整した死亡率(人口10万対)。

※6 高画素内視鏡

 画素数が、ハイビジョンテレビと同等の内視鏡。

※7 画像強調内視鏡(Image Enhanced Endoscopy:IEE)

 (Narrow Band Imaging:NBI)、(Flexible Spectral Imaging Color Enhancement:FICE)、色素内視鏡により、表面模様や血管模様を強調する内視鏡検査法。

※8 色素内視鏡検査法

 通常の観察よりもより詳細な所見を得ることを目的とされ、何らかの方法で色素を粘膜面に用いて、粘膜との反応や吸収状態の差から病変を診断する内視鏡検査。

※9 過形成性ポリープ

 正常な大腸粘膜が、炎症やその他の原因で盛り上がってしまい、ポリープとなったもの。がんになることは極めてまれで基本的に切除する必要はないが、腺腫とまぎらわしい性質のものや大きめなものは切除することもある。近年、1㎝を超えるものは、発癌性が高いことから注目されている。

※10 内視鏡的粘膜下層剥離術(Endscopic Submucosal Dissection:ESD)

 内視鏡的に使用可能な高周波メスを使い、粘膜下層のレベルで病変を剥がし取る手技。主に消化管腫瘍の治療に用いられる。2012年3月までは、高度先進医療の1つであったが、同年4月に保険診療として認められた。
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